社会って面白い!!~マンガでわかる地理・歴史・政治・経済~: ドキュメント石油危機10 1973年10月18-19日~「紙節約国民運動」

2022年10月19日水曜日

ドキュメント石油危機10 1973年10月18-19日~「紙節約国民運動」

 今日は10月19日(2022年)ですが、ちょうど49年前の日本では、

「紙節約国民運動」が実施されようとしていました!💦

※マンガの後に補足・解説を載せています♪


〇今月上旬の卸売物価 さらに1%続騰 中東紛争の影響は必至

日銀が19日発表した10月上旬の卸売物価※は総平均指数が120.9 (45年[1970年]= 100)と前旬に比べ1.0%の大幅続騰となり、前年同月比でも19.5%という朝鮮動乱(27年[1952年])以来の最高の上昇を記録した。前旬比の伸びは3月上旬の1.0%と同じ高水準のもので、これで4月下旬以来17旬連続の?[読み取り不能]上げである。

上旬現在では中東紛争の影響はまだ出ていないが、今後、非鉄金属、ゴムなど戦略物資価格を押し上げるのは必至で、長期的にはこの影響は免れそうもない情勢である。

上旬で値上がりの激しかったのはパルプ・紙、化学、一般・精密機器など工業製品で、上昇寄与率は50%弱に達した。これらは10月からの下期、第3・4半期入りのため上旬に新しい値決めがされると言う特殊要因があったため。

市況商品には引き締めの影響などで?[読み取り不能]勢が鈍化しているものも見られ、中・下旬は落ち着いた動きに推移するとみられている。このため日銀では中・下旬がもちあいなら10月は1.3%の上昇になるとしているが、実際には1.6・7%の上昇になると見ている。この結果、10月の前年同月比は20%前後の伸びとなり、記録的な物価上昇となりそうだ。

10月下旬に大きく値上がりしたのは、パルプ・紙、同製品(前旬比の伸び3.4%)化学製品(同2.5%)一般・精密機器(頭1.5%)の工業製品と雑品目(同2.3%)。段ボール箱が原紙高から値上げされたほか、パルプ、工業?[読み取り不能]剤、プラスチック製品、印刷インキ、ボイラー等が原料高や資材高から上昇した。これらの中には下期、第3・4半期入りで新しく値決めされたため大きく上昇したものがかなり含まれている。また関西電力の値上げ、骨材の値上がりなどで雑品目が大きく値上がりしたのもめだった。非食料農林産物、製材、木製品は続落し、繊維、鉄鋼なども落ち着いた動きを見せ始めており、7 ・8月の全面的な高騰がここにきてやや波乱含みの動きに変わってきた。

※卸売物価…企業間で取引される中間財(住宅設備など)や原材料の価格のこと。なんで住宅設備が入るのかというと、家を買うときについてくる住宅設備(システムキッチンなど)は消費者が買っているわけではないため。

〇紙不足ますます深刻に 節約へ「国民運動」 政府が方針

紙不足がますます深刻となり、紙類の価格も大幅な値上がりを続けているが、通産省は政府、国民が一体となった「紙節約国民運動」を展開する方針を固め、19日の閣議で中曽根通産省から説明、閣議の了承を得た。22日の各省庁事務次官会議で申し合わせたうえ各官庁、公団などが率先して紙節約に乗り出す一方、11月中旬に消費者、学?[読み取り不能]経験者、?[読み取り不能]要協会、製紙メーカーが参加する「紙使用合理化懇談会」(会長、宇野勝?[読み取り不能]早大教授)を発足させ、紙節約の具体策を固め、期限を切らない国民運動として年内にもスタートさせることにしている。

同省によると、紙の消費は公害対策などで伸び悩んでいる供給を上回る勢いで増加しており、従来のような使い方を続けると、55年[1980年]には47年[1972年]のほぼ2倍の2700万トンに達すると予想される※。

すでに本年度の供給見通しは、在庫分を11万トン放出してようやくトントンになる綱渡り状況となっている。この傾向は今後いっそう強まる見込みで、原木の外材依存率も45年[1970年]の18.9%から本年度は33.3%へ高まっている。同省はこうした事態に対処するため、設備投資の推進、海外資源の開発と古紙回収の促進など供給増加に努める一方、消費節約の国民運動を進めることにした。

※1980年の紙消費は、節約運動が功を奏して、1809万トンまで抑えることに成功した。1972年に1365万トン、1973年に1598万トンだった紙消費は1974年に1565万トン・1975年に1360万トンと2年連続で減少した。

ちなみに今の紙消費は2331万トン。紙消費のピークは2000年の3183万トン。その後、リーマンショックやコロナによって紙消費は減少を続けた。

また、目の敵にされた電話帳だが、当時年間8万トン分の紙を消費していた。政府から要請を受けた電電公社(現NTT)は①収録区域の分割による分冊化、②発行周期の延長(1年から1年半)を実施している。

(記事は『福井新聞縮刷版1973年10月中』 10月20日より。)

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