社会って面白い!!~マンガでわかる地理・歴史・政治・経済~: サラエボ事件のきっかけとなったバルカン戦争

2022年10月12日水曜日

サラエボ事件のきっかけとなったバルカン戦争

 なぜセルビアは、サラエボ事件オーストリアの皇嗣を暗殺しようと思うほどオーストリアを憎んでいたのか。

それは、前年・前々年に起きた二度にわたるバルカン戦争が関係していました💦

※マンガの後に補足・解説を載せています♪


第一次バルカン戦争

1912年3月、セルビア・ブルガリアは「両国の独立と、ヨーロッパの大国がオスマン帝国領を侵略しようとする動きに反対するため」に同盟を結んだ。

まもなく、ギリシャ・モンテネグロもこの同盟に加わり、

この4カ国はオスマン帝国と戦争を始めた。

つまり、この同盟は、「ヨーロッパの大国の奴らに、俺たちのバルカンを取られてたまるか、取られる前に俺たちで取っちまおうぜ同盟」だったのである(;^_^A

10月に戦争は開始された。

オスマン帝国はマケドニア方面が中心になると考え、そこに軍隊を集中させていた。

しかし、予想に反してブルガリアはトラキア(バルカン半島南東部。イスタンブール周辺)に軍隊を集中させてきた。

オスマン帝国は負けに負け、首都イスタンブールの近くの防衛線まで追い詰められた。

ロシアはイスタンブールを攻撃したらブルガリアと戦争をする、と脅したが、

ブルガリアはロシアの制止を振り切って防衛線に攻撃を仕掛けた。

しかし、オスマン帝国はこれをかろうじて撃退することに成功し、

12月にブルガリアとオスマン帝国は停戦した。

しかしオスマン帝国内で再戦派によるクーデターが起きると、

1913年2月に再び戦争は開始された。

オスマン帝国軍はバルカン同盟軍に多数の損害を与えたが失敗し、

バルカン同盟軍はオスマン帝国の重要拠点エディルネ(アドリアノープル)を攻撃し、多くの死傷者を出しながらもこれを陥落させた。

一方、ギリシャも優勢に戦いを進めていた。ギリシャは海戦でオスマン帝国海軍を破り、制海権を奪った。

また、1913年2月8日のピザニの戦いではギリシャ軍の飛行機が爆撃を試みて撃墜されているが、これは世界最初の撃墜記録であったという✈

セルビアもオスマン帝国軍を各地で撃破し、マケドニア北部を占領した後はアルバニアの占領を進めていた。

1913年5月、ロンドン条約により第一次バルカン戦争は終結した。

バルカン同盟諸国はそれぞれ領土を拡大したが、

しこりを残したのがアルバニア方面とマケドニア方面だった。

アドリア海に関心があり、アドリア海と接するアルバニアがセルビアにとられると困るオーストリア・イタリアがアルバニアの独立を主張して認められ、

セルビア・モンテネグロ・ギリシャはアルバニアにおける占領地を失った。

また、マケドニア北部ではセルビアとブルガリアが、マケドニア南部ではブルガリアとギリシャが領土問題でもめた。

利害が一致したセルビアとギリシャは同盟を結び、

第一次バルカン戦争が終わって間もない1913年6月に第二次バルカン戦争が開始された。

第二次バルカン戦争

ブルガリアはセルビア・ギリシャを攻撃したが撃退された。

その後、ブルガリアはセルビア方面は防衛に成功したが、ギリシャ軍は止められず連敗を重ねた。

そこにルーマニア・オスマン帝国もブルガリア攻撃を開始し、

オスマン帝国はエディルネ(アドリアノープル)を占領、

ルーマニアはブルガリアの首都ソフィアに迫った。

ここに至ってブルガリアは敗北を認め、8月10日に講和条約が結ばれた。

ギリシャ・ルーマニア・オスマン帝国は領土を広げたが、

ブルガリア軍に苦戦したセルビア軍はあまり領土を広げられず、

講和会議では勝者として、ストルマ川までをセルビアに譲るようブルガリアに要求したが、

オーストリアはこれ以上のセルビアの拡大を望まず、ロシアはこれ以上のブルガリアの縮小を望まなかったので、

オーストリア・ロシアの圧力を受けたセルビアは領土要求を取り下げなければならなかった。

バルカン戦争中、2度にわたって干渉してきたセルビアのオーストリアへの憎しみは強まった。

1910年のオーストリア皇帝のサラエボ訪問時と、1918年のオーストリア皇嗣のサラエボ訪問時では何が変わっていたかというと、

セルビアのオーストリアへの憎悪の増大と、セルビアの軍事力の自信の高まりであった。

セルビアは続いてセルビア人が多く住むヘルツェゴビナを求めるようになり、

戦争を始めるためにフランツ・フェルディナントの命を狙ったのである。

(フランツ・フェルディナントを暗殺した秘密組織「黒手組」(統一か死か)はオーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフのサラエボ訪問後の1911年に結成されている)

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