社会って面白い!!~マンガでわかる地理・歴史・政治・経済~: 「一票の格差」とは?

2023年1月26日木曜日

「一票の格差」とは?

 2023年1月25日、最高裁判所は、

2021年に行われた衆議院議員総選挙の「一票の格差」をめぐる裁判で、

「合憲」とする判断を示しました💦

「一票の格差」ってよく聞きますけど、

何が問題なんでしょうか?

何が憲法に違反しているんでしょうか?

なぜ最高裁判所は憲法に違反してないよ、と言ったんでしょうか?

それについて今回は取り上げてみました(;^_^A

※マンガの後に補足・解説を載せています♪


〇「一票の格差」とは?

今回の裁判を起こした弁護士グループは、

裁判を起こした理由について、次のように述べています。

「『1人1票』を要求する憲法に違反している」

「国会議員の多数決の結果が、国民の意思と一致していない」

どういうことでしょうか?

まず、①1人1票を要求する憲法に違反している、ですが、

憲法を見ても、「1人1票」とはどこにも書かれていません。

選挙について憲法に書かれているのは、

「成年者による普通選挙」

「投票の秘密」

だけです。

なので、関係がありそうな条文は、

12条の「法の下の平等」ということになります。

これは、法律では全ての人を平等に扱いますよ、ということです。

選挙に関する法律は、「公職選挙法」です。

公職選挙法を見ると、第36条に「投票は、各選挙につき、一人一票に限る」とあります。

みんな1人1票と書いてあるのだから、平等に扱っているのでは?と思いますが、

弁護士グループの方たちは、

「その公職選挙法に書いてある選挙の区分けがおかしいせいで、

実際は1人1票になっていない」と言うのです。

現在、衆議院小選挙区は、例えば東京は25区、鳥取は2区に分かれており、

東京からは25人の国会議員が選ばれ、鳥取からは2人の国会議員が選ばれることになっています。

東京は鳥取の12.5倍も国会で投票権を持つ代表者(国会議員)を出せるわけですが、

有権者(投票できる人。つまり成年者)は、東京は鳥取の24倍いるのです。

本当は48人代表を出せるはずなのに、約半分の25人しか代表を出せていない。

これでは投票券は半分の価値しかないじゃないか…。

この状態を、弁護士グループは

「東京の人は鳥取の人と比べ、投票価値が半分しかない。本当にこのままでいいのか」と言います。

そして、このようにズレがある状態だと、国民の多数意見=国会議員の多数意見とならない、これでは国民主権ではなく、国会議員主権になる、というのです。

とてももっともな感じがしますが、

反対意見もあるのです。

なぜかというと、多数意見=人口の多い都会の意見、になります。

そうなると、都会を重視した政策ばかり取られて、地方はなおざりにされてしまいます。ただでさえ立場が弱いのに。ますます人が都会に行っちゃいます。

弁護士グループの言っていることももっとも、

反対意見ももっともです。

そうなると、選挙制度がまずい、ということになります。

例えばアメリカでは、上院と下院に分かれていますが、

下院は人口比で議員が決められるのに対して、

上院は、人口に関係なく、各州で2名ずつ選ばれます。

つまり、下院は都会有利、上院は地方有利と、バランスを取っているわけです。

日本の参議院は、衆議院のコピーで、意見の違いが見られない、無駄だ、という意見もあるのですから、日本も、このようにするといいと思うのですが、いかがでしょうか…。

※ちなみに、自民党の憲法改正案では、

い」とし、人口を「基本」として、他の様々な状況も総合的に判断して選挙区割りを決める、としているので、このように憲法が改正されると、今の状態の選挙は「違憲」とは言えなくなります。




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