社会って面白い!!~マンガでわかる地理・歴史・政治・経済~: 2023年10月17日(火)に起こった社会に関するできごと

2023年10月18日水曜日

2023年10月17日(火)に起こった社会に関するできごと

〇首相 ライドシェア導入検討表明へ

「ライドシェア」…アプリを介して、「車」と「同じ目的にまで行きたい人」をつなぎ、相乗りを支援するサービス。メリットとしては、高速料金などを割り勘できること、二酸化炭素排出量をおさえられること。他にも、代金をもらって相乗りをするやり方もある。日本では有償で人を自家用車に載せる行為は法律で禁止されているが、アメリカでは有償で人を載せることが可能。乗車前にアプリ上で代金をクレジットカードで払う仕組みであるため、タクシーのように金額で冷や冷やさせられることは無い。料金もタクシーの半額以下で乗れるそうな。デメリットは安全面くらいだろうが、アプリに登録されているので相手の身元はわかるし、同じように安全面が心配されているウーバーイーツも現在の日本で広く行われている。

ニューヨーク在住ジャーナリストの安部かすみ氏は、「アメリカでウーバーが誕生したのは2010年。ライドシェア利用はこの13年で浸透しすっかり生活の一部になりました。一方なぜ日本でこれまで根づきにくかったかのか。タクシー業界の抵抗もありますが、一つは安全面への不安もあると思います。アメリカだってよくよく考えれば治安が日本と比較にならないくらい悪く実際に犯罪も起きているので、乗客とドライバー双方にとって安全面への不安がないといえば嘘になりますが、私個人的には利用時に不思議とそのような不安はないのと、トラブルも一度もありません。その理由として、金額が事前にわかる明朗会計であること、また乗客とドライバーによる双方の評価制度があって利用前に参考にできるからだと思っています。日本でサービス解禁となったらこの評価制度が潤滑油としてどう生かされていくでしょうか。」と述べている。

一方で反対意見もあり、自民党のタクシー・ハイヤー議員連盟の会合では、「安全安心の確保から認めてはいけない」「安易なライドシェアを認めるわけにはいかない」「導入を認めれば、地域の公共交通機関が失われる恐れがある」という意見が出た。

これに対し、神戸国際大学経済学部教授の中村智彦氏は「タクシー議連ですから、タクシー業界の意見を代弁し、利権を守るの当たり前でしょう。しかし、ライドシェアを認めて欲しいという意見が出ている地域や自治体では、すでにタクシー会社が地域交通を担うことができなくなっています。こうした現実を無視して、ご自身の支援団体の業界だから、とにかく反対というのでは「国会議員」としてはいかがなものでしょうか。先日、話したある地方自治体職員は「そこまでタクシー業界を保護し、ライドシェアがダメだと言うなら、地方公共交通に対してタクシー会社に義務を課せるべきではないか」と言います。タクシーもない、ライドシェアも許されない、それではもう地方の公共交通が維持できないところまで来ている現場の危機感が国会議員の先生方には届いていないのではないでしょうか。全面的なライドシェア解禁が無理ならば、せめて地域の実情に合わせて導入できるように制度を整えるべきだと考えます。」と意見を述べている。

タクシードライバーの人手不足・高齢化は著しい。タクシー運転手の数は2019年の29万人から、2023年は23万人と、2割も減少しているし、タクシードライバーの平均年齢はなんと60.7歳だという。

人手不足を解消するためにタクシードライバーの賃金引上げをすべきだ、という意見もあるが、それで2割分が戻るとは思えない。地方の公共交通機関を使えない高齢者の方々にとって、今は待ったなしの状況であり、その場しのぎのような作戦では根本的な問題解決にはならないように思う。

〇男性の育休 30.8%と最高

明治安田生命保険は、育休を取得した男性の割合が30・8%であったこと、そしてこの割合が調査開始の2018年以来、いずれも過去最高になったと発表しました。

…タイトルだけ見ると「おおっ」となるのですが、「2018年」開始以来最高、と言われると「ん?」という気持ちになります(;^_^A

まぁ、それでもスゴイことには変わりないのですが。

育休を取ったと答えた男性の割合は、

2018年 16.8% → 2019年 16.1% → 2020年 26.3% → 

2021年 26.4% → 2022年 23.1%

…と推移してきており、今回は7.7%アップの大幅増となりました。

育休を取得した理由のトップは「育児は妻だけでなく、自分も参加しないと

いけないと思ったから」(25.0%)で、2番目に多かったのが「子どもが小さいうちに育休を取得し、育児に参加したかったから」(12.5%)でした。

育休取得者が大きく増えた要因として、2022年10月から、「出生時育児休業(産後パパ育休)」・「育児休業の分割取得」ができるようになったことが挙げられるといいます。

「出生時育児休業(産後パパ育休)」は、子の出生後8週間以内に4週間まで、産後パパ育休を取得できるというもので、従来の育休とは別に取得できます。

どういうことかというと、これまでは子どもが1歳になるまで、1度育休が取れる、ただし出生後8週間以内に育休を取った場合は、その後もう1度育休が取れる、というしくみだったのですが、

出生後8週間以内に1度育休を取ったとしても、それとは別に、もう1度出生後8週間以内に産後パパ育休がとれるようになったのですね。

え、別に変わってないのでは?と一瞬思います。なぜなら、これまでも、8週間以内の時、まるまる8週間育休を取ることも可能でした。

なぜもう一度とる必要が…?とも思いますが、つまるところは、8週間以内のときに1度職場に戻って働くことができるようになった、ということなのですね(;^_^A

これだと育休取得日数は減ってしまうのでは?と思うのですが、例えばAさんという人がいて、「8週間まるまる育休を取ることが心苦しいな。会社は中小企業だし…、2週間目は会社が忙しいときだから、最初の1週間だけ育休を取ろう」、となったら、8週間以内の時にもう1度育休を取ることができなかったわけです。しかし、これからは、会社が忙しいときだけ復帰し、忙しい時期が終わったらもう1度育休が取れるようになったわけです。しかもこれは分割して取得可能なので、産後1週目→育休 2週目→職場復帰 3週目~4週目→産後パパ育休 5週目→職場復帰 6~7週目→産後パパ育休 8週目→職場復帰 …ということも可能になったわけです。これだと育休取得日数が増えることがイメージできますね(;^_^A

そしてもう1つの「育児休業の分割取得」ですが、9週目~1歳まで育休が取れるのは1回きりだったのが、2回まで取れるようになったのですね。これまでも9週目~1歳までまるまる育休は取れたのですが、中小企業ではそういうの難しいですからね(;^_^A

以上の制度の変化により、男性の育休平均取得日数は2022年の30日から41日と、大幅に増加することになったのです(39.3%の人が「取得しやすくなった」と答えている)。

一方で育休を取得できなかった人も58.7%存在しており(残りの10.5%は「育休を取る必要が無かった」と答えた人です)、その理由は「給与が減少するなど、金銭的な面で取得しにくかった」(27.8%)「利用するための職場の理解が不足している」(13.1%)「長期職場を離れ、仕事のスキル・経験に支障がでるため」(9.7%)というもので、男性の育休に対する理解が完全に進んでいないこと・中小企業では金銭面で育休を取らせることが難しいことがわかります(-_-;)

ちなみにこのアンケートでは、「子育てに熱心だと思う男性有名人」についても尋ねており、その結果は、1位「つるの剛士」2位「杉浦太陽」3位「はなわ」…となっています。

〇「景気悪化」と回答80%、高水準続く

日本世論調査会が行った郵送世論調査によれば、今の景気が悪くなっていると考えている人が80%にのぼったという。

昨年の91%だったので改善はしているようですね。値上げに一服感が出て来たからでしょうか(゜-゜)

2021年10月の岸田政権発足前と比べて家計の状況が苦しくなった、と答えた人は57%。岸田政権下で値上げラッシュがあったのですが(例えば、うまい棒の価格が12円になったのは2022年4月1日です)、39%は「変わらない」と答え、3%は「やや良くなった」と答えているのがスゴイですね(◎_◎;)どんな人…?

政府に物価対策を何とかしてもらいたいものとして、1番多かったのは「電気代・ガス代」42%で、次は「食品」30%でした。食品について思うのは、せめて主食の米は消費税無しにできないのか?ということです(-_-;)

景気が悪化した理由として、「ウクライナ情勢などによる物価高に政府がうまく対応していないから」(61%)というのがありました。外国と比べてまだまだ物価は安いんですけどね(;^_^A

変えなければいけないのはとにかく安いものを買おうという意識、買い物を控えようとする意識ですね。それだといつまでも賃金は上がりません(-_-;)世界からも置いて行かれます…。

〇JR3社、新幹線「喫煙ルーム」2024年春に廃止を発表

JR東海・西日本・九州は、東海道・山陽・九州新幹線の「喫煙ルーム」を2024年春の廃止すると発表。JR西日本は「近年の健康増進志向の高まりや喫煙率の低下を踏まえ、2024 年春をもって山陽新幹線車内のすべての喫煙ルーム及び駅の喫煙コーナーを廃止」すると発表している(喫煙率は1990年の時に30%を超えていたが、2019年で16.7%まで減少している)。JR東日本・JR北海道はすでに禁煙にしているため、これですべての新幹線で完全禁煙が実施されることになった。「喫煙ルーム」は、災害時に備えた非常用飲料水の設置スペースに変更される。

愛煙家のお笑い芸人たちからは悲鳴の声が相次いだ。オズワルドの伊藤俊介は、「待て待て待て待て。無理無理無理無理。死んじゃう死んじゃう死んじゃう。ダメだ新幹線喫煙所撤廃悔しすぎる。喫煙者は社会クビくらいのレベルにきている。たばこ税払って喫煙所撤廃されるって君。たばこ税ってなにかね君。もう喫煙者の徒党組ませてくれ。なんの活動もしないから。徒党だけ組ませてくれ。それかJT所属で出馬させてくれ。喫煙所でダルマに目書かせてくれ」とX(旧Twitter)にポスト。それに対する反応として、「電子タバコは認めてほしい」という意見があったが、電子タバコ自体は周りに臭い煙は出さないものの、喫煙者の鼻や口から出される目に見えない煙には有害物質が含まれており、周りに害を与える。喫煙ルーム撤去はなかなかにしんどいですけど、ホームに喫煙所あったと思いますので吸い溜めしてから乗りましょう&耐えましょう」という意見もあるが、駅のホームからも喫煙所は無くなるのでこの作戦も無理である。

そもそも喫煙所を無くすのは喫煙所に出入りする際に周辺に有害な煙が漏れ出て副流煙による被害をもたらすためだ。

新幹線の喫煙所を無くすとトイレで隠れて吸う人が出るのではないかと不安」と心配する声も。確かに…(-_-;)トイレに煙を感知するシステムをつけるしかないのかな。

「たばこ税を払っているのに」という意見があるが、酒税と同じく、中毒性があり、使用しすぎると体に大きな害となる点からして、抑制の意味もこめて税金が高く設定されているのだし、たばこは税収を大きく超える損失をもたらす(喫煙による火災・喫煙から来る病気による労働力の損失などにより、税収2.2兆に対し6,4兆もの損失をもたらすという[2005年])という試算もあるから、この論は当を得ない。

違法薬物ではないのだから、たばこを吸う権利が守られるべきだ…という意見も確かに一理ある。しかし、「海外に行くときはもっと長時間禁煙になりますよ」というX(旧Twitter)上の意見もあった。喫煙者以外も存在する密閉された空間の中では、やはり喫煙すべきではないと思う。権利は、他の人に害を与えない場合許されるものである。

家族に配慮して家の玄関脇で吸っている方がいたが、そのそばを通った自分は、その煙を吸って嫌だった…( ;∀;)

お酒が交通事故や暴力などの直接的被害をもたらすのに対し、たばこは副流煙による間接的被害をもたらす。副流煙の方が不特定多数を対象としているし、酒よりも健康被害が大きいのだから、酒よりも厳しく制限されるのも致し方ないのではないだろうか。

〇ポーランド与党 過半数届かず

ポーランドで15日に実施された下院の選挙結果が判明し、与党「法と正義」は過半数の議席を取れなかった。親EUの「市民連立」の得票率は法と正義の35.4%にあと少しに迫る30.7%で、他の党と連立を組めば政権が取れる可能性が高まった。「市民連立」のトゥスク元首相は「『法と正義』の支配は終わった」と勝利を主張した。

このニュースがいいニュースなのは、「市民連立」がウクライナ支援に積極的である一方、「法と正義」は消極的な一面があるということです。

ウクライナは黒海が封鎖されたことで、ヨーロッパ大陸に穀物を輸出するしかなくなったのですが、ウクライナ産の穀物は安いため、農家が打撃を受けることを懸念して、EUはウクライナの穀物輸出を禁止していました。これが9月15日に解除されたのですが、ハンガリー・スロヴァキア・ポーランドは輸入禁止を継続していました。ウクライナはこれはおかしいとWTOに提訴、これに反発したポーランド政府は9月30日、ウクライナへの武器支援をやめると宣言して、両国の関係は悪化していました。これが改善されることが期待できるのはうれしいですね(;^_^A 

また、近年、ポーランドとウクライナは歴史問題をめぐってで緊張が高まっていました。第二次世界大戦のころ、ウクライナ西部においてポーランド人が13万人も殺されたらしいのですが、それにはウクライナの民族団体である「ウクライナ民族主義者組織(OUN)」・「ウクライナ蜂起軍(UPA)」が関わっていたのではないか、と言われているのですね。ロシアとの対立でナショナリズムが高まるウクライナは、近年、上記の民族団体を顕彰する動きを強めていますが、ポーランドはこれに反発しました。また、2016年にはポーランド人虐殺を扱ったポーランド映画「ヴォルィーニ」が公開されましたが、内容はウクライナ民族主義者によるポーランド人虐殺から逃れようとするポーランド人女性を主役とした物語であったため、賛否両論が巻き起こり(監督には、両国の関係をいたずらにこじらせるもの、と非難がある一方で、保守系の人々からは「ポーランド映画史上最高の歴史映画」などと熱狂的に支持された)、ウクライナでは「ポーランドの歴史的資料のみに基づいた」偏った映画だ、「ポーランドとウクライナの関係は10年後退するだろう」と批判が起こり、上映中止になりました。2022年6月には、ウクライナの駐ドイツ大使アンドリー・メルニクが、「ウクライナ民族主義者組織(OUN)」の指導者のひとりであるステパン・パンデラ(1909~1959年。1959年にソ連により暗殺された。近年英雄視される傾向がある)はユダヤ人・ポーランド人虐殺に関わっていない、と発言、問題になりました(メルニクは7月に駐ドイツ大使をやめさせられましたが、その後外務副大臣、現在は駐ブラジル大使となっています)。

そんな中でも、ポーランドは選挙でウクライナ支援に積極的な「市民連立」を支持する人が多くいたのですね。三好範英氏の『ウクライナ・ショック』には、ポーランドのワルシャワ大学准教授ウカシュ・ゴウォタ氏の次の言葉が紹介されています。「ポーランドがウクライナを支援してきたのは、次は我々がロシアの侵略にさらされるかもしれないという気持ちからだ。ウクライナが我々のために戦ってくれていることを知っているからだ」

ポーランドの人たち、すごいなぁ…自分たちのことだけ、目先のことだけを考えてるんじゃないもんなぁ…。日本はどうなんかなぁ…。

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