殺人・強盗などの諸犯罪について取り扱う賊盗律。
中には、やけに細かかったり、やけに厳しかったり、ビックリするような条文も見られます💦
※マンガの後に補足・解説を載せています♪
〇賊盗律~こんなことが罪になっていました~
14条 物を人の耳・鼻などの穴に入れた者は杖罪60。物を取り去って人を死傷させた(例えば、寒い月に衣服を取り去る。高い所に登っているときに梯子を取り去る。馬に乗ろうとしたときに馬のくつわを取り去る。飢えたり、のどが渇いていたりする者から、飲食物を取り去る)者は、闘殺傷の罪として扱う(人の穴に物を詰め込んで殺傷した場合も同様)。また、人を脅して、恐れさせて、死傷させた(例えば水際に追い詰め、そこから追い落とす)者は、闘戯殺傷の罪として扱う。
※闘訟律 逸文 (戯殺傷人条) 危険な勝負によって人を殺傷した者は、闘殺傷の罪より二等軽く扱う。刀を使ったり、高い所に登ったり、水中に入ったりして、競争する中で相手を死傷させた場合は、罪を一等軽く扱う。
16条 毒物を使用したり、人に売った者は、絞刑。まだ使用していなかった場合は近流。食中毒を起こした魚は、すぐに焼いて処分せよ。しなかった場合は、杖罪90。わざと人に与えたり、混ぜて売ったりした場合は、徒刑1年。故意に死なせた場合は、絞刑。
19条 死体を損壊したり、水中に棄てたりした者は、徒刑1年半。死体の髪を切ったり、死体を傷つけたりした者は、杖罪100。
20条 地面を掘って、死体を見つけた時に、再び埋めなおさなかったり、キツネやタヌキを燻し出すために棺を焼いたりした者は、杖罪100。死体を焼いた者は、徒刑1年。
21条 人々を惑わせる書物(妖書)を書いたり、しゃべったり(妖言)した者は、遠流。妖書・妖言を別の者に伝達した者も同様の罪とする。害が発生しなかった場合は、杖罪60。妖書を所有していたものの、他人に伝えようとしなかった場合は杖罪80。
22条 夜間に勝手に人の家に入った者は、笞罪30。家の主人が勝手に入ったものを殺しても無罪とする。勝手に入ったわけでもないのに(例えば、誤って入ったり、酔っぱらって入ったり、認知症の老人が入ったり、女性だったりした場合)殺した場合は徒刑3年。侵入した者を取り押さえたのに、殺したり傷つけたりした場合は闘殺傷の罪と同様に扱う。傷つけた者が後に死亡した場合は、遠流。
(現行の刑法では、不法侵入は3年以下の懲役・または10万以下の罰金)
28条 所有が禁じられている武器を盗んだ者は、徒刑1年半。弩・馬の鎧を盗んだ者は徒刑2年。それ以外の武器や軍の旗などを盗んだ者は通常の窃盗罪(35条)に一等加える。宮殿を守るのに使う武器を盗んだ者は、それぞれにさらに一等加える。
29条 仏像を盗んだり、壊したりした者は、徒刑3年。僧の場合は、中流。菩薩の像の場合は罪を一等軽く扱う。盗んだものを死人の供養に使用していた場合は、杖罪80。
30条 塚を壊した者は、徒刑3年。棺を開いた者は、遠流。塚をあばいたものの、棺のところまで到達しなかった場合は、徒刑2年。穴が掘ってあるが、まだ死人が入っていない棺を盗んだ者は徒刑1年半。死体の衣服を盗んだ者は一等軽く扱う(つまり徒刑1年)。
(現行の刑法では墳墓をあばいた者は2年以下の懲役。墳墓をあばいたうえで、死体や棺の中の物を損壊したり、自分の物にしたりした者は、3か月以上5年以下の懲役)
32条 馬・牛を盗んで殺した者は、徒刑2年半。
34条 強盗(酔わせて物を奪う場合も同じ)未遂は徒刑2年。布1尺(約30㎝。幅は約72㎝)(布1尺分の価値の物を盗んだ、という事か)を盗んだものは徒刑3年。2端(8丈4尺。1丈は10尺なので84尺、つまり約25m)を増すごとに罪を一等ずつ加える(2端1尺で近流)。15端を盗んだ者や、強盗したうえ人を傷つけた者は、絞刑。強盗殺人の場合は、斬刑。武器を持っていた場合は、未遂であっても遠流。10端で絞刑。傷つけた場合は斬刑。
(現行の刑法では強盗は5年以上の懲役。強盗致傷は無期懲役または6年以上の懲役。強盗殺人は死刑、または無期懲役)
35条 物を盗んだものは笞罪50。布1尺を盗んだものは杖罪60。1端(4丈2尺。1丈は10尺なので42尺、つまり約12.5m)を増すごとに罪を一等ずつ加える(1端1尺で杖罪70)。そのため、5端を盗めば徒刑1年となる。これ以降は、5端を増すごとに罪一等を加える。50端を盗めば加役流(3年の流刑)。
(現行の刑法では窃盗罪は10年以下の懲役)
37条 家屋や集積物を焼き、物を盗んだ者は、焼かれた物の損害額に、盗品の家格を加えて、強盗の罪を以て扱う。
38条 恐喝して物を奪い取った者は、窃盗の罪に一等加える。物を奪えなかった場合も、杖罪60。
(現行の刑法では10年以下の懲役)
39条 人を殴った後、盗むつもりはなかったが物を奪った者は、強盗の罪と同じ。後に死亡した場合は、加役流。物を盗んだ者は、窃盗の罪に一等加える。
40条 別居している五等の親族(妻妾の父母・姑の子・舅の子・姨の子など)から盗んだ者は、一等罪を軽く扱う。四等、三等となるにしたがって、一等ずつ罪を軽く扱う。盗む際に殺傷した場合は、殺傷の罪と同じく扱う。
(現行の刑法では、配偶者・直系血族[祖父母・父母・子・孫]・同居の親族から盗んだ場合は罪に問わない(◎_◎;))
42条 物を盗む際に誤って人を殺傷した場合は、殺傷の罪と同じように扱う。後に死亡した場合は、加役流。
45条 人を誘拐して、売って奴婢としたら遠流。家人としたら徒刑3年。妻妾や子孫としたら徒刑2年半。未遂は四等軽く扱う。相手が合意していたら一等軽く扱う。合意の上売って奴婢とした場合は、売った方も売られた方も徒刑3年とする。売れなかった場合は一等軽く扱う。他家の家人を誘拐した場合は、それぞれ一等罪を軽く扱う。
(現行の刑法では、人を誘拐した場合、1年以上10年以下の懲役。売った場合も同様)
46条 奴婢を誘拐した場合は、強盗として扱う。合意の上であれば窃盗として扱う。最高刑は中流とする。
47条 二等の目下の親族(弟妹・兄弟の子)、兄弟の孫、外孫(娘の子)を売って奴婢とした場合は、徒刑2年半。子孫の場合は徒刑1年。合意の上で売った場合は罪を一等軽く扱う。それ以外の親族を売った場合は徒刑3年。
48条 誘拐されたものと知りながら購入して奴婢とした者にも、売った者の一等軽い罰を与える。
(現行の刑法では人を買った者は3か月以上5年以下の懲役。営利目的などの目的で人を買った場合は1年以上10年以下の懲役)
52条 盗みを繰り返して、3度徒刑を受けた者は、近流。3回流刑となった者は、絞刑。親族に対しての場合は、このきまりを適用しない。
54条 自分の管轄するところで盗みが起きた場合は、里長(郷長)は笞罪40。3人で一等加える(つまり窃盗する者が4人出れば笞罪50)。郡司は笞罪20。4人で一等加える。国司は管理する郡の多少に応じて罪を与える。最高刑は徒刑2年半。強盗の場合は、それぞれに一等加える。30日以内に捕まえた場合は無罪とする。30日を過ぎて捕まえた場合は、3等罪を軽く扱う。
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